身勝手でメンクイで自分勝手。それでもモテる、理系男子

「堀越二郎・・・恐ろしい男!」

今年の夏、劇場映画「風立ちぬ」を見た人は多く、そして、その内容に涙した人も多いでしょう。

流石に「大人のジブリ」と言われるだけあって、そのストーリーも味わい深く、
奈緒子と二郎のラブストーリーは戦前日本のノスタルジーある風景と軽井沢の瑞々しい自然を背景に、いかにも映画的な、美しいラブストーリーとして描かれており、見終わった後は、どこか清々しい思いがしました。

ここ数作の宮崎アニメがそうであるように、この作品も見る人によって様々な感想を抱かせ、
喫茶店で飲み屋で話題になっています。

多くの名作がそうであるように、「見たうえでそれを大いに語りたくなる映画」というのは間違いなくいい映画です。
例えそれが「自分勝手な理想を求める夢追い男の、オレ様的な恋愛」の映画であったとしても。。。

風立ちぬ 映画恋愛活用術

ジブリ作品のほとんどの主人公はそうであるように、「風立ちぬ」の堀越二郎は、見事な二枚目です。
しかし驚かされたのはその設定が「近眼」であることです。
二郎は近眼であるがゆえにパイロットの夢をあきらめ、かわりに「美しい飛行機を作る」ことに自分の情熱を捧げました。

しかし、その動きの中で見えるのは「二郎がメンクイの女好き」であることです。 汽車の中で、入社した飛行機会社で、二郎の眼は、常に美しい女性を追いかけていることに、皆さん気づかれたことと思います。

しかも妹の加代に対しては、なんとも無関心のような態度です。 
きっと二郎は美しい女性にしか興味がないのでしょうね。
その上、二郎は人の話を聞きません。
人が目の前にいても上の空。白昼夢を見ることに余念がありません。
上司と喫茶店にいる時ですらそうですから、
現代日本に二郎がいたらと思うと、その先行きが心配になってしまいます。
彼は「コミュ力」に乏しいと思えます。

そんな二郎ですが、飛行機への情熱と革命的な発想で、出世階段を駆け上り、海外視察までも手に入れます。
当時の日本は格差も大きく、二郎がいかに恵まれた社会環境であったかの描写は、至るところで見られます。
二郎は自分の能力を地位を自覚していたからこそ、結果的に「オレ様」的になり、またその「オレ様」故に多くの人を巻き込んでいったのでしょう。 

工場の勉強会で、ブルーカラーの工員も巻き込んでサービス残業で勉強会を行う。 
実際に慕われている姿もうかがえます。

そんな「仕事の虫」である二郎と付き合う奈緒子は大変です。
結核なのに東京に出てきて、仕事を持ち替えってきた二郎が同じ部屋で煙草を吸うのを許し、
なによりも初夜では女性の方から床を許す、という描写でした。

それでも奈緒子は幸せであった、という描写が続きます。
病弱な奈緒子にとっては、震災の時に助けてくれた二郎は「白馬の王子様」として刷り込まれ、
(実際地位も容姿も申し分ないですし)、成長してからは「偶然の再開」に胸を焦がしました。

奈緒子にとって、二郎が「美しい飛行機」を作る事が自分の夢となり、それを見届けることが人生の目標となったのです。

▶まとめ

結果的に、二郎は身勝手な「オレ様」男子でした。 
妹の加代ちゃんはお兄ちゃんの全てを許すことは無かったでしょう。
それでもオレ様の強いところは、女性に「あなたが夢を叶えることが、私の夢」と思わせてしまうところです。

「偶然の再開」ということは難しいかもしれません。
しかし自分が夢を持ってそれに突き進む姿、そして
自分がそれを為すに足る才能を持っていることを示すことで、こういったことも可能になってくるのです。

結果的に、奈緒子は二郎に振り回された一生を送りました。
それでも、奈緒子は二郎に「私のかわりに人生を歩んでくれた」感謝しているでしょう。
あくまで自分勝手なのに、許され感謝される「オレ様男子」、それが堀越二郎でした。

まことに恐るべき存在です。

筆者:takeshi