MKJ_aisusuke-to_TP_V

福永知世福永知世

最終回を迎えて尚人気冷めやらぬアニメ『ユーリ!on ice』。

続編を望む声も多い作品ですが、そんな新しいスポーツアニメ、という作品の中で描かれた

“愛の形”。

男性同士の恋とも友情とも違う固い絆。

もしかしてこれは、腐女子が心から望んでいたアニメだったのかもしれません。

付き合ってるとかそんなの関係ない!

放送を重ねる度に、腐女子の死体の山を目撃することになった大人気アニメ「ユーリ!on ice」。

ツイッターでの断末魔の叫び声や、沼に自ら身を投げる腐女子たちの姿は潔くもありました。

さて、そんなユーリ!というモンスターアニメ、振り返ってみると“二次創作殺し”とも思える公式サイドの所業の数々。

同人誌を一から書き直した!なんて人も続出した本編の中には、我々腐女子が心から望んでいた“男性同士の究極の関係”が描かれていたのではないでしょうか。

1、スタンダードなストーリー

 

まず注目すべきは、「ストーリーそのものはとてもスタンダードなスポーツアニメ」という点です。

冴えない主人公の勝生勇利の元に、フィギュアスケート界のリビングレジェンド、ヴィクトル・ニキフォロフがやってきてコーチとなり、勝利へと導く。

冴えない主人公が成り上がっていく様や、実は抜群の実力者であった点、そして結果にハラハラさせられたり、コーチとの関係や成長していく過程などは、今までにもあったスポコンアニメの王道のストーリー展開とも言えるでしょう。

視聴者の期待を裏切らない、というのはもちろん、少女漫画で育った人には懐かしく、男性にも違和感なく受け入れられたのは、この「ありがちなストーリーだけど丁寧に描いた」という点かもしれません。

2、視聴者の解釈に委ねる

 

原作者の久保ミツロウ先生も仰っていましたが、「あのシーンはキスしたの?」などという質問に対して、「それは視聴者の皆さんに解釈を委ねる」というもの。

勇利とヴィクトルがお互いにどのような感情を抱いているのか、それはきっと言葉では言い表せないですし、勇利の「愛のようなもの」と表現していることから、おそらく本人も「それがなんなのか」ハッキリと理解できていないのかもしれません。

そのため、解釈の幅は広がりますが「とりあえずお互いに好意(恋愛以外でも)を持って信頼しているのは間違いない」というところから、友情にも愛情にも見えるのが味噌。

人によっては「ああ、あれは師弟愛だよ。師弟というのはそのくらいの関係なんだよ」という人もいれば、「あれはもう付き合ってる!結婚だ!」という人もいます。

そういう解釈の幅が許されるアニメであった、ということがヒットの要因でしょうし、いわゆる「腐女子ウケ」を全身で受けて跳ね返したアニメだった、とも言えると思います。

3、恋愛を超えた愛情表現

 

じゃあなぜあんなに腐女子が爆死したのか。

それは、腐女子が「欲しかったもの」を公式が「与えたから」にほかなりません。

腐女子が欲しかったものは、利己的な愛情や、一方的な恋慕ではなく、“母なる大きな愛”なのではないか…と思います。

勝生勇利を見ていると、危なっかしくて仕方がない存在です。

不器用な人は自分を重ねることができるのではないでしょうか。

そんな主人公が、憧れだった人から大きな愛に包まれ、今までの灰色だった人生が一変して安心して心を委ねて生きていける。これは、男女関係なく、もしかしたら性別などを超越してたどり着く究極の“愛の形”ではないでしょうか。

勇利が素晴らしいとか、ヴィクトルがすばらしい、という単体の問題ではなく、「お互いに会いたい人に出会うことができた」という奇跡こそ、腐女子が本当に望んでいた形かもしれません。

最後に

福永知世福永知世

「BLなんてファンタジーだ」という人がいます。

確かに、現実の男性同士の恋愛というのとはかけ離れています。では、あれはなんなのでしょうか。

きれいな容姿の男性たちが愛し合う…というのは、言ってみれば“人間の形をした別のものに願望を託す”ような行為だと思います。

フィギュアスケートは芸術を競うスポーツです。

今回、そんな腐女子の求めるものと、アニメの表現したかったテーマが合致した、という事実は言うまでもないでしょう。

The following two tabs change content below.
福永知世
福永知世(ふくながちせ)… 1983年青森市生まれ、宮城学院女子大卒。学生時代からの様々なアルバイト経験、夜のお仕事経験から学んだ人間関係を恋愛学に活かすWebライター。 男も女も視点を変えるだけで幸せになれる、をテーマに辛口に執筆している。 一児の母。